海苔について

海苔の歴史

 

「海苔」が歴史に現れる最初の記述は、常陸国風土記(現在の茨城県)に、倭武命がこの地を巡行し,静かな浜辺に海苔の乾してある、美しい光景に眼を惹かれ,「能里波麻(のりはま)の村」と、名ずけたとあります。
 その後、飛鳥、奈良時代には、中国大陸文化(特に仏教)の伝来により、肉食が少なくなり、海の幸・山の幸が食卓にのぼるようになります。

大宝律令(西暦702年)の制定により租税の調(税金)として「海苔」が産地諸国の物産として徴収されたと記録されています。それにちなんで2月6日を”海苔の日”と定めました。(昭和42年に制定)
平安時代から室町時代には、精進料理、茶席料理に使われ重用されました。
この頃までは,採った生海苔をそのまま広げて乾燥したものでしたが、江戸時代の中期には、生海苔を紙状にすいて乾し上げたもの(漉き海苔=乾海苔)が登場します。
この頃、貨幣経済の発展により商品生産が発達し、地名を冠した特産品が生まれました。その中でも「浅草海苔」に代表されます。 
江戸の宝永から享保(西暦1700年頃)、料理食物文化が栄え、ヒビたて、のり抄きが始められ「海苔」の商品化が一段と進んだ時代です。「海苔巻き寿司」もこの時代にでき、1780年頃大流行しました。  

現在に至り、焼海苔、味付け海苔に製造して、進物用、おにぎり、ふりかけ等多方面に利用され、年間100億枚の海苔が食されております。 

参考文献:海苔の歴史  著者: 宮下章 

海苔の栄養

 

海の恵み、「海苔」には健康な生活を送るための 「元気の素」 がたっぷりふくまれています。 毎日の食事に海苔を加えて,体に必要な栄養をしっかり摂取しましょう。

β-カロチン、タウリン、EPA海苔には、 がん予防に効果的と注目されているβ-カロチン、 コレストロール低下
 に有効だといわれるEPA,タウリンがたっぷり!
ビタミンC海苔には、 風邪予防や肌荒れに効果的なビタミンCがたっぷり!
カルシュウム、ミネラル海苔には、日頃不足しがちな、ミネラルがたっぷり。
カルシュウムは 骨を丈夫にする だけでなく、 イライラを解消する とも 言われています。
鉄分、ヨート鉄分は 貧血予防 に効果的。
ヨードは、 成長を促進する働きがあります。
食物繊維海苔の1/3は食物繊維。
食物繊維は 便秘解消の働き だけでなく腸内にたまった 食品添加物や初ガン性物質を出す 働きもあるといわれております。

海苔1枚には、食品のたんぱく質で大切なアミノ酸組成や炭水化物の食物繊維など、過食や偏食に陥りがちな飽食の時代に最も必要とされる栄養をふくんでいます。

参考文献:海苔press発行/海苔で健康推進委員

パリッと美味しい海苔の研究

 

海苔は万葉の時代から、食している「日本伝統の味」であり、古来から日本人の食べ物で、好き嫌いがない自然食品です。

海苔の生産時期は,10月から4月までで期間的に短い生産物です。

「食感」は、海苔の生産方法によって2種類あり、支柱柵漁場のりおさん)、浮流し漁場のり子さん)により海苔の性質が異なります。 

NHKのためしてガッテンによる分類

分類のりおさん(支柱柵漁場)のり子さん(浮き流し漁場)
食感噛み切れる噛み切れない
手につく手につかない
パリッと歯ごたえしっかり
用途手巻き寿司おにぎり

海苔の保存と焼き方

 

海苔の色素は、クロロフィルの緑、カロチノイドの黄色とオレンジ色、 フィコエリスリンの鮮紅色、フィコシニアンの青色の4色の混合色で、 色素のバランスと総量の多い海苔ほど美味しい、良い海苔です。

海苔は湿気を帯びると次第に紫色に変色し、パリッとした 、香り、旨みが失われてきます。
ポリ袋に入れ、乾燥剤 とともに密封して缶に納めてきちんとふたをします。
使うときは 必要な量のみを取り出し、すぐにふたをしてできるだけ湿気が 入らないように気をつけます。  冷蔵庫や冷凍庫で保存する場合もポリ袋に乾燥剤を入れ、 口をきちんとしめます(チャック袋がよい)。 湿った海苔は、元にはもどりません。そんな時は海苔佃煮にすると よいでしょう。(香り、風味は多少おちますが)

最近はほとんどが焼き海苔として売られていて、焼く手間が なくなりました。
ただし、乾のり(巻ずしに使われている焼い ていない海苔)は食べる寸前に焼くと、香りも風味も 一層おいしく味わえます。
乾のりが手に入ったときは手早く焼いて、海苔のおいしさを 十分に味わいましょう。  

海苔には裏と表があります。さわってみてツルッとしている ほうが表、簀(すのこ)のあとがあって少しザラッとしている ほうが裏です。
焼くときは裏側に火をあてるので、2枚一緒に 焼くときは中表にして重ね、返しながらあぶります。 火加減はやや弱火です。炭火を使うのが一番です。そのときは網を置いてその 上で焼いてください。 オーブントースターが一番簡単に焼けておすすめです。
オーブントースター で焼くときは庫内を温めてから、海苔を入れて数秒加熱。時間が 短いので焼きすぎに注意しましょう。 ガスは、燃焼するとき水蒸気が出るのであまりおすすめできま せんが、網等を使って炎を遮断して焼けば、それなりにうまくいくようです。

海苔の呼称

 

海苔は日本人の家庭に日常欠かせない食品であり、その魅力ある 特有の香りや、光沢、風味は吾が民族伝統の心を如実に映していて、 限りない親しみと、天の恵みものです。

海苔の由来

 

「ノリ」は”メ”(海布、布)、”モ”(裳)等と並んで我々の遠つ祖の持つ素朴な感覚が生み出した大和言葉である。

文字が伝えられる以前(万葉の時代)から食用とされていました。文字が導入されてから,江戸時代に至るまで,一千余年の長きに渡って、「紫菜」(むらさきのり)あるいは「神仙菜」(あまのり)・「甘海苔」(あまのり)の 文字と呼称が使われていました。

鎌倉時代には「あまのり」の呼称で呼ばれていて、 「海苔」、「苔」と書いて「のり」一品を指すに至ったのは、江戸時代中期からです。 アサクサノリ、品川苔等、地名特徴を読み込んだ呼称もこの頃です。

明治時代以降「乾のり」「乾 海苔」の呼称が普遍化し、現今では「焼のり」、「味付け海苔」等 など「加工のり」に対し、普通判に抄き上げた製品を「乾海苔」と呼んでいます。「乾海苔」こそは、紫菜・神仙菜・甘海苔・苔・アサクサノリ等々、時代性を背景にして、次々に現れ消え去っていった「海苔」文字と呼称の現代版です。

参考文献:海苔の歴史   宮下 章著