種付けから摘み取り
海苔の生産後期(2月頃)になると果胞子(生殖)を持った胞子ができてきます。(海苔の糸状体)
その糸状体を細断し、海水を入れた水槽の牡蠣殻表面 に蒔付けします。糸状体は,牡蠣殻全面に繁茂して殻胞子を作り 夏の間牡蠣殻の中で眠っています。秋になり水温が摂氏23度以下になりますと、糸状体から放出された殻胞子を、 海苔網に種付けをします「採苗(さいびょう)言います」。採苗には野外採苗と陸上採苗があります。
右の写真は陸上採苗の様子です。
採苗した網は、支柱柵漁場と浮き流し漁場に網をセットします。
また1部の海苔網は冷蔵網として、適度に乾燥して(網干し作業)マイナス20~30度で冷凍保管し、1度目の網(秋芽網)の生産が落ちたり、病気の発生により生育が悪化した時にチェンジするための予備として用いられてきました。最近では暖冬の影響で冷凍網生産が多くなりました。
海苔網を養殖漁場に張り、3~4週間すると、のりが10~15㎝以上に生長してきます。
この時期がのりを摘み取る適期です。
1枚の網からは、1回の摘み取りで板海苔400~600枚分ののりがとれます。
左の写真は、支柱漁場用の摘採機で、掃除機のようなもので網の上を回転刃で切り取る方法のものです。 海水と共に吸い取り、生海苔が籠に入ります。
海苔網の幅に合わせた回転刃の上を海苔網を移動させて摘み取る方法(ピアノ線式)。
浮き流し漁場に用いられます。 最近では、もぐり船というのり摘採機でのり網の下をピアノ線をつけた船で摘み取る方法も 出来ました。昔の手作業から機械化されてきました。
摘採から抄製
摘採してから乾し海苔製造のプロセスは①摘採、②異物除去,③細断と洗浄、④調合と抄製(のり抄き)、⑤脱水、⑥乾燥、⑦剥離(のりはぎ)、⑧選別と結束(100枚単位の束にする)の順で行われます。
左の写真はのり網です。サイズは幅約1.5m、長さ18mです。
摘採したのりは冷却しながら、作業場に入れ、のり葉体に付着している雑藻や雑菌を取り除くために海水で十分に洗います。 抄く際には、普通のり100枚につき、約100リットルの淡水を使います。乾のりに含まれる塩分の量は1%前後がよいでしょう。
その後細断器にかけて4~6mmぐらいに細かく刻みます.これを抄き水に入れて溶かし、のりすの上の一定の枠に流しいれて抄き、水気を切って乾燥します。
現在では機械化が進み②~⑦の工程は機械で連続して自動的に処理され、数時間で海苔ができあがります。
海苔は、昔から自然食品として親しまれてきましたので、現在でも人工着色や、つやだし剤の添加は禁じられています。
あらゆる添加剤がみとめられていません。
乾海苔の製造は、のりの原藻が海水の中で生育している時から、すでに持っていた特質を出来るだけそのまま、乾のりに加工することが大切です。右の写真のり抄きと乾燥の機械です。
検査
100枚一結束にした乾のりは各地の漁業協同組合に集められ、検査を受け、等級、格付けされます。
海苔の基本的な大きさは、横19cm、縦21cmです。
のりの重量は乾海苔1枚3gが基準とされています。
一般にのりの原藻の形が整い、抄き方が丁寧で。色が濃く、光沢があり、香りがよく、乾燥度が12%以下ののりが上等とされています。
右の写真は金属検出機と自動重量選別機です。
左の写真は自動重量選別機で軽、並、重、厚に選別します。
等級は検査員が色、艶、製品の良し悪しで選別します。 それをダンボール箱に3600枚入れます。